社宅があるとか実家の近くに住みたいとか、そういう条件が無い場合、これから子供を産み育てようとする夫婦が家を建てる際の選択肢は二つある。一つは交通の便の良い、けれども都会にある極小の土地に家を建てるか、もう一つは交通の便は悪いけれど、田舎にある広い土地に家を建てるかである。私たちの場合は考えるまでもなく、後者を選んだ。夫はバイクが好きなのでバイクを自由にいじることのできる広い庭が欲しく、私は自分が田舎育ちでのびのび育ったこともあって自分の子どもにものびのび育って欲しかったからだ。結局夫の会社がある新宿まで一時間ほどの場所に、たまたま知り合いが何人か住んでいたこともあり、そこに100坪の土地を購入し家を建てた。その知り合いが建築会社に勤めていたこともあり、普通に家を建てる値段で様々なオプションをつけてもらうことができた。全てのフロアが床暖房だったり、全ての窓がペアガラスだったり、かなり充実した内容で建てることができたので、その知り合いには感謝してもしきれない。

その家で初めて迎える冬、私たちは快適に過ごすことができた。とにかく家の中が暖かいのだ。やっぱり床暖って素晴らしいし、ペアガラスのおかげで暖気が外に逃げて行かないので、時には暑いと感じる時があるほどだ。
だけど一つだけその知り合いから注意されたことがある。それは、鍋などガスを使用する際は、必ず換気をするように、ということである。つまりそれだけうちの窓ガラスは密閉性が高いため、熱も逃がさないけれど、一歩間違えると一酸化炭素中毒になりやすいという危険性もあるとのことだった。それを聞いたときは怖いと思ったけれど、でも換気扇をつければいいだけの話だし、それだけ密閉性が高いということの裏返しでもあるわけで、やっぱりこの窓ガラスでよかったなと、改めて感じたのである。